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平出 哲也
Proceedings of 8th Asia Pacific Symposium on Radiation Chemistry (APSRC 2020) (Internet), 2 Pages, 2020/04
絶縁材料中に入射された陽電子は、そのトラック末端で自らイオン化を起こし、過剰電子とラジカルが形成する。この過剰電子と入射陽電子がポジトロニウムを形成すると、ポジトロニウム中の電子とラジカル中の不対電子がスピン相関を持つことになる。このスピン相関を利用することで、ラジカルの超微細結合定数に依存した量子ビート現象がポジトロニウムとのスピン交換反応に現れ、また、スピン相関のあるラジカルとその他のラジカルをポジトロニウムをプローブとする反応で見分けることができる。水中ではOHラジカルの挙動を、室温イオン液体中ではカチオンラジカルの状態などについて研究を行うことができる。
平出 哲也; 満汐 孝治*; 小林 慶規*; 大島 永康*
Acta Physica Polonica A, 137(2), p.109 - 112, 2020/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)最近、室温イオン液体中におけるポジトロニウム(Ps)バブルは通常の分子性液体中とは非常に異なる状態であることが報告されている。これらの現象は徐々に理解されつつあり、陽イオンと負イオンによる相互作用により形成されている構造が、融点よりも高い温度でも存在していることが示されている。この構造が融点近くで起こるPsバブルの振動の原因であることがわかってきた。三重項Ps(オルトーPs)のピックオフ消滅寿命から見積もられたPsバブルの大きさの温度依存性は、高い温度でもこのイオン間の相互作用による構造が残っていることを示している。オルト-Psのピックオフ消滅寿命は室温イオン液体中に存在するナノサイズの構造の研究における重要な手法となりえる。
平出 哲也
陽電子科学, (11), p.33 - 40, 2018/09
絶縁材料中に入射した陽電子は、そのトラックの末端で熱化し、過剰電子の一つと1ps程度の時間にポジトロニウム(Ps)を形成する。したがって、Ps形成は液体中の過剰電子の溶媒和過程のような速いプロセスを調べるためのプローブとなり得る。放射線化学では室温イオン液体(IL)を照射することで興味深い現象がみられ、またその現象はILの応用において重要なものであった。そこでILの陽電子消滅寿命(PAL)測定を行ったところ、IL中で最短寿命成分の異常に長い寿命値が見出された。これらの異常な寿命値の原因を明らかにするためにPALと陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)測定を行い、最終的にPsバブルの振動を発見した。最近の研究について結果を紹介しながら解説する。
平出 哲也
放射線と産業, (139), p.23 - 28, 2015/12
ポジトロニウムは電子と陽電子の結合状態である。このポジトロニウムに関連した化学研究とその応用について解説した。ポジトロニウム形成機構は半世紀以上の時間を要し、Hiradeによる低温における現象の解明で、全体が明らかとなり、研究者間の対立も消え、同じ考えの上で議論できるようになった。現在ではスパー反応モデルが再び受け入れられ、ポジトロニウム形成を利用した放射線化学研究、特に、ピコ秒領域の過剰電子の挙動や電子の移動度に関する研究を紹介した。また同時に、自由体積モデルが間違いであることが示され、その結果、高分子の微視的自由体積研究などで、三重項ポジトロニウムの消滅寿命のみで議論できることを解説した。また、最新の研究として、液体中においてポジトロニウムが作るサブナノメートルのバブルがイオン液体中で振動していることが見出され、ナノサイズの物性研究で期待されるものであることを示した。
平出 哲也
Journal of Physics; Conference Series, 618(1), p.012004_1 - 012004_5, 2015/06
被引用回数:5 パーセンタイル:84.22(Physics, Applied)ポジトロニウム(陽電子と電子の結合状態)は物質中で負の仕事関数を持つため、液体中ではサブナノサイズのバブルを形成する。バブルが形成される際に、その大きさが安定するまでに、バブルの大きさの変化や振動が起こると考えられる。陽電子消滅法は、対消滅線を検出することで行われる手法であるが、その時間分解能は100-200ピコ秒程度であり、通常短時間で起こる液体中のバブル形成過程は、計測された例がない。室温イオン液体中における陽電子消滅過程では不思議な現象が多く見られてきたが、最近、これらが、バブル形成に時間を要するためであることが明らかとなってきた。そこで、バブル形成時の振動などが計測できる可能性があり、実際に、バブルサイズに依存する、三重項ポジトロニウムの消滅率の振動として捕らえることに成功した。一方、この振動の周期や減衰は、サブナノスケールにおける動的粘弾性を示しており、室温イオン液体をはじめとする液体の新しい動的特性評価法となりえることを示しており、振動が温度依存することを示すことで、動的特性が反映されていることも確認した。
平出 哲也
Radiation Physics and Chemistry, 76(2), p.84 - 89, 2007/02
被引用回数:3 パーセンタイル:25.51(Chemistry, Physical)放射線化学とポジトロニウム化学には多くの接点が存在する。モーゲンセンによって提唱されたポジトロニウム形成のスパー反応モデルは多くの放射線化学の知識を必要とする。一方、このスパー反応モデルは新しいアイデアを放射線化学者に示すことができた。ポジトロニウム形成は非常に速い反応であり、Dupratreらによって示されたように、放射線化学分野のパルスラジオリシスの結果とポジトロニウム形成には非常に良い相関が見られる。低温域で見られるポジトロニウム形成の増加は低温域で形成される捕捉電子と陽電子の反応によりうまく説明されたが、放射線化学においては捕捉電子の研究とは多くされてきており、これらの研究なくして、このポジトロニウム形成機構の解明はなかったと考えられる。そして、逆に、陽電子利用により捕捉電子などの新しい研究が可能となっていくと考えられる。
小室 葉; 平出 哲也; 鈴木 良一*; 大平 俊行*; 村松 誠*
Radiation Physics and Chemistry, 76(2), p.330 - 332, 2007/02
被引用回数:3 パーセンタイル:25.51(Chemistry, Physical)最近、スパー過程によるポジトロニウム形成の詳細が明らかになりつつある。スパー反応モデルをもとにステパノフが提唱したブロッブモデルによるとポジトロニウム形成の時間情報を扱えるようになりつつある。ダウエらは陽電子消滅寿命-運動量相関測定(AMOC)によって測定されたPMMAのS(t)カーブをブロッブモデルでシミュレートして見せた。S(t)カーブに現れるYoung-Age広がりをシュツッツガルトのグループはポジトロニウムの熱化課程をとらえていると解釈した。鈴木らは特に低温域で、陽電子が長距離を拡散し、捕捉電子と反応することによる遅延ポジトロニウム形成を示した。ブロッブモデルによれば室温であっても陽電子は長距離拡散後ポジトロニウム形成が可能であると考えられる。われわれはスパー過程における遅延ポジトロニウム形成の証拠を実験によって捉えることを試みたので、その結果について報告する。
平出 哲也
Acta Physica Polonica A, 107(4), p.615 - 622, 2005/00
長寿命の弱く束縛された電子(捕捉電子や負イオン)と陽電子との反応によるポジトロニウム形成は、低温域で見られる高分子や分子固体中でのポジトロニウム形成の増加する現象を説明することに成功した。このポジトロニウム形成は従来から提唱されてきたOre過程やスパー過程によるポジトロニウム形成と全く異なる過程である。このポジトロニウム形成機構から予言される、可視光による効果,弱く束縛された電子の密度効果,遅延ポジトロニウム形成などの現象を実験で見いだすことに成功し、このポジトロニウム形成を実証するものとなった。また、この新しいポジトロニウム形成過程を利用する手法が幾つかある。例えば、陽電子のスピン偏極率の評価法への応用や、あるいは増加したポジトロニウム形成の昇温による抑制から局所的な分子運動の研究への応用などが可能であることが示された。
Stepanov, S. V.*; Byakov, V. M.*; He, C.*; 平出 哲也; Mikhin, K. V.*
Acta Physica Polonica A, 107(4), p.642 - 650, 2005/00
ポジトロニウム形成に及ぼす捕捉電子,溶媒和電子の役割を議論する。熱化した陽電子とこれら電子との結合はエネルギー的に可能であり、ポジトロニウム形成の一部を担っている。準自由状態の電子と陽電子の反応とは異なり、このポジトロニウム形成はピコ秒の時間領域に限られず、ナノ秒の時間領域にまで及んでいる。このような場合、従来から用いられている陽電子消滅寿命スペクトルの指数減衰成分への分解による解析には疑問が生じる。データの厳格な取扱には単なる指数減衰による分解でなく、適当な物理的な情報が必要となる。そのような方法をここで提唱する。また、その手法によりポリエチレン,EMMA,PMMA中の暗黒中,可視光下におけるポジトロニウム形成の測定時間,温度依存性について解釈する。捕捉電子の蓄積,捕捉電子とイオンとの再結合,捕捉電子と陽電子によるポジトロニウム形成に関するパラメータを求めた。
平出 哲也
Materials Science Forum, 445-446, p.234 - 238, 2004/02
浅く捕まった電子と陽電子によるポジトロニウム形成は低温域での高分子中や分子固体中の現象を矛盾なく説明し、予測された現象,可視光の効果,ポジトロニウム形成の電子濃度依存性,遅れて起こる形成、などを実験により検証した。この新しいポジトロニウム形成は浅く捕まった長寿命の電子と陽電子の反応によるため、強磁場中,極低温では浅く捕まった電子がスピン偏極する。ここにスピン偏極した陽電子を入射し、ポジトロニウム形成を起こすと、形成されたポジトロニウムのスピン状態の分布に反映され、実験で確認できる。この現象を用いることにより、陽電子のスピン偏極率の測定も可能であると考えられる。これら内容について招待講演する。
平出 哲也; 熊田 高之
Materials Science Forum, 445-446, p.301 - 303, 2004/02
高分子や分子性固体に入射した陽電子は陽電子トラックの末端に形成されるスパー近傍で熱化し、近くに存在する過剰電子などの活性種と反応し、ポジトロニウムを形成する。この形成では電子のスピンは完全にランダムである。一方、放射線等で起こるイオン化に伴って放出される電子は十分低温では浅く束縛され、暗黒中で長時間安定に存在する。自由陽電子は浅く束縛されている電子を引き抜いてポジトロニウムを形成できるが、この電子の場合、強磁場中,極低温に置くとスピンの方向は揃いはじめ、偏極させることができる。そこに偏極陽電子を入射し、形成されるポジトロニウムのスピン状態に効果が現れることを実験で確認した。
平出 哲也
Radiation Physics and Chemistry, 68(3-4), p.375 - 379, 2003/10
被引用回数:17 パーセンタイル:72.74(Chemistry, Physical)分子性固体や高分子中では低温で陽電子消滅寿命測定を行うと捕捉電子や負イオンによってポジトロニウムの形成が増加する。この手法を用いることで捕捉電子や負イオンの挙動を研究することが可能である。この方法の利点はあらゆる捕捉電子負イオンに適用できることである。被照射ポリメチルメタアクリレート(PMMA)中で240K付近で見られる発光はCHラジカルが捕捉した電子が熱運動で開放され、再結合に伴って発行するものであることを明らかにした。
鈴木 直毅*; 平出 哲也; 斎藤 文修*; 兵頭 俊夫*
Radiation Physics and Chemistry, 68(3-4), p.647 - 649, 2003/10
被引用回数:23 パーセンタイル:80.7(Chemistry, Physical)1980年台からいろいろな物質中で低温で陽電子消滅寿命測定を行うとポジトロニウム形成が増加する現象が見られてきた。1998年、平出らはこれを低温で陽電子の照射効果によって形成される捕捉電子と自由陽電子との反応であると説明し、予測されるいろいろな現象を実験で確かめ、従来の間違った解釈を改めた。われわれはさらに、今回、予測されていた、遅れて起こるポジトロニウム形成を、陽電子寿命-運動量相関測定(AMOC)により確認することに成功したので、その結果について報告する。
平出 哲也
放射線化学, (75), p.46 - 51, 2003/03
1980年代から低温でいろいろな物質中でポジトロニウム形成の増加現象が見られてきたが、その後、長い間、誤った解釈がされてきた。1998年、新しい機構でこの現象を説明し、予言される現象を実験により確かめてきた。このポジトロニウム形成機構を現在まで行ってきた実験結果をもとに説明し、また、この機構をもとにポジトロニウム形成の放射線化学的実験手法としての可能性についても述べ、解説する。
Shantarovich, V. S.*; 平出 哲也; Kevdina, I. B.*; Gustov, V. W.*; Oleinik, E. F.*
Acta Physica Polonica A, 99(3-4), p.497 - 501, 2001/03
低温におけるポジトロニウム形成の増加現象は低温で陽電子寿命測定中に入射陽電子によって形成,蓄積された捕捉電子と陽電子が反応して形成されるが、その捕捉電子濃度とボジトロニウム形成収率の変化を反応過程をモデル化しシミュレーションを試みた。その結果、高分子中ではボジトロニウムが捕捉される自由体積に由来する空間は常に充分にあり、ポジトロニウム形勢後直ちに捕捉されていることがわかった。
平出 哲也; 熊田 高之
Radiation Physics and Chemistry, 60(4-5), p.541 - 544, 2001/03
被引用回数:17 パーセンタイル:74.85(Chemistry, Physical)ポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子中で陽電子消滅寿命測定によりポジトロニウム(Ps)形成収率を測定すると時間の経過とともに収率が低下してくることが知られている。これは入射陽電子による照射効果であることがわかっているが、その機構は未解明である。この現象を詳細に研究し、照射による酸化、照射によるラジカル形成ともにPs形成収率の低下の原因でない可能性が高いことがわかり、照射による高分子の物理構造の変化、特に局所的な状態変化により起こっている可能性が高いことを示した。
平出 哲也; Maurer, F. H. J.*; Eldrup, M.*
Radiation Physics and Chemistry, 58(5-6), p.465 - 471, 2000/06
被引用回数:130 パーセンタイル:99.13(Chemistry, Physical)陽電子が物質中に入射され、それ以前の陽電子によって形成された捕捉電子と反応することによって起こるポジトロニウム形成反応により低温域でポジトロニウム形成の増加が起こるとする、われわれが提唱したモデルを既に可視光の起こす効果によって確かめてきたが、さらに外部からの線照射による捕捉電子の生成、ESRによるその濃度の同定により、くわしく議論する。また、このモデルが高分子以外の物質にも適用できることも示す。
平出 哲也
JAERI-Conf 2000-001, p.306 - 309, 2000/03
10年以上の間、低温で高分子中で観られたポジトロニウム形成のゆっくりとした増加は、高分子の物理的な緩和であると解釈されてきた。これに対しわれわれは陽電子と捕捉電子の反応によるポジトロニウム形成という新しいモデルを提唱し、予言される可視光による効果も実験で得ることに成功し、その正当性を証明した。さらに捕捉電子密度をESRで求め、その密度とポジトロニウムの形成の増加が比例していることなど明らかにした。また、密度高く形成されるアルキルラジカルなどが陽電子挙動に影響しないこともわかった。以上のことを総括し、今後の課題などについて議論する。
C.L.Wang*; 平出 哲也; Maurer, F. H. J.*; Eldrup, M.*; N.J.Pedersen*
Journal of Chemical Physics, 108(11), p.4654 - 4661, 1998/03
被引用回数:153 パーセンタイル:97.11(Chemistry, Physical)陽電子寿命測定法により2つのアモルファス高分子中の自由体積サイズの分布とオルソ-ポジトロニウム形成について研究を行った。ポリビニアアセテイト(PVAc)とポリメチルメタアクリレート(PMMA)を84Kからガラス転移温度以上まで測定し、84,149,224,249Kで200時間までの測定を行った。その結果、陽電子寿命測定から得られる自由体積分布は陽電子の照射時間に依存していないことがわかった。またオルソ-ポジトロニウム形成における温度及び陽電子照射の効果をスパーモデルにより議論した。
平出 哲也
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 211(1), p.15 - 22, 1996/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Analytical)陽電子は物質中で電子と反応しポジトロニウムを形成するが、二硫化炭素中ではこのポジトロニウム形成においていくつかの不思議な現象が報告されている。これらの現象を説明するため種々の実験を行い新しいモデルを提唱した。二硫化炭素は陽電子・電子親和力が大きく、また表面張力が大きいためポジトロニウムの状態でも陽電子・電子は二硫化炭素上にしみ出ている。また、ポジトロニウム形成時には形成直前と直後のエネルギー状態によって形成されるかが決まり、つまりバブル中のポジトロニウム状態には依らない。これらのモデルによって種々の実験結果を説明した。